前回に引き続いてラジーパイねた。
その前回で結局ローカルのIPカメラ画像をインターネット越しライブ配信するやりかたを書かずじまいだったけど、そんなのは各自勝手にやってくれとしか(をい) と言うかもうRTMPで流れてるんだからRTMP受け付けてくれる動画配信サービスにFFmpegで投げればいいだけ。
お次にラジーパイにやらせるねたはずばり、貧乏人のハイレゾオーディオ。
個人的にオーディオ系の話題は宗教あるいは「沼」だと思ってたので敬して遠ざけておくのがいいやね、どうせ耳にLPFが勝手にインストールされるお年頃だし(笑)…とか考えてたら、
- ラジーパイからはI2SとかいうD/Aコンバーター直結用インターフェース信号が出ている
- そのI2Sにぶら下げたD/Aコンバーターをラジーパイからオーディオデバイスとして扱う用意(OS/ドライバ/ミドルウェア/アプリ)が既にある
- ユニバーサル基板での手ハンダ電子工作レベルでI2S接続して実際に音を出せるD/AコンバーターICが秋葉原で安く売られている
今I2S DAC ICを求めて全力疾走している僕は自宅警備員をしているごく一般的な男の子。強いて違うところをあげるとすればついさっきハイレゾオーディオに興味を持ったってとこかナ…そんなわけで、外神田は
千石電商本店1F奥のICコーナーにやってきたのだ。
『ウホッ!いいIC…』
(同じICを0.1"ピッチ変換基板に貼っただけのものが最近
秋月でも扱いが始まったのでSSOPハンダ付けとかしたくない方はどうぞ。あとピッチ変換基板・ピンヘッダ込みでかつ安くあがるのでケチな人もw)
このIC、
TI / Burr-Brown PCM5102Aの諸元はこんな感じ。
- 2chステレオ、最大サンプルレート384kHz、32ビット分解能、SNR 112dB
- 低歪FIR/低遅延IIRを随時切り替え可能な最大8倍補間デジタルフィルタ
(アナログ段LPFがとても簡素に)
- 負電源チャージポンプ内蔵でグランドセンター2.1Vrms ポップフリー・アナログライン出力
(DC阻止コンデンサが不要でイヤホン規模負荷なら直接駆動可)
- システムクロックはI2S BCKから内蔵PLLで自己供給可
(I2Sソース同期したシステムクロック発振が不要に)
- 秋葉パーツ屋での末端価格が円建てで3桁
(価格破壊の風が語りかけます…安い、安すぎるw)
うん、一応TI / Burr-Brownって高級オーディオICの代名詞だと思ってたんですが…かがくのちからってすげー!
(動作設定用I2Cインターフェースや内蔵DSP動作をいじれる上位モデルもありますね…フフフ、奴はPCM5100番台の中でも最弱…)
基本的にはデータシートの"Typical Applications"に沿って作ればいい。必要なものは秋月で揃うので忘れずに買っておく。
実装上の留意点、というほどのものでもないが気をつけることとしては、
- DAC ICとセラコンとの距離を最小化するべし。"Layout Guidelines"にもそう書いてある。デカップル用100nFは変換基板ピンヘッダ実装部の隙間に配置できる。チャージポンプ用セラコン2200nFも頑張れば変換基板上に配置できる(ヒント:裏側)
- DAC ICのSCK、FMT、DEMPはDGNDに落とす(直結またはプルダウン)。ミュート制御用のXSMTは真面目に実装すると面倒なのでDVCCに上げておくに留める(直結またはプルアップ)。FLTはDGNDに落とすか、適当な手段でDVCCに上げられるようにしておくのもいい
- 各I2S信号線にはリンギング防止に200Ω程度の終端抵抗を入れたほうがいいという意見もある(シュミットトリガ入力なのでそれほどの効果はないかも)
DAC ICのDEMPについてナニコレイミワカンナイ!な人が多いようなのでここで解説。
"Pin Functions"見ても "De-emphasis control for 44.1-kHz sampling rate" としか書かれていないからか頓珍漢な思い込みを書いてしまっている方もいるが、要は
初期のCD-DAの一部に高域SNR改善のために予め高域を持ち上げて(Pre-emphasis)サンプリングしたものがあって、それを正しく再生するために逆特性フィルタを掛ける(De-emphasis)、そういうことである。
もちろん昔はアナログ段でそういう特性のフィルタを作っていたのだが、今や数百円のICに複数の32ビット積和演算器と数百語のレジスタが当たり前に入る世の中なので(笑)、デジタル補間処理のついでで片付いてしまう。ただ、Pre-emphasisかかってるCD-DAは希少で、最近ではまず使われない。DEMPピン制御するよりはFFmpegとかで24ビット変換しつつDe-emphasisしたほうがよいかと思われ。
その3に貼っていた写真をもう一度。こんな見てくれでもまあ立派に鳴ってくれるのはご愛敬。少なくともラジーパイ本体のPWMモジュールででっち上げた48kHz、12ビット分解能相当の音とは確実に違う。と言うかオーディオは凝りだすとホント沼なのでこのくらいで丁度いい。大体、たかが数千円のシングルボードコンピュータと数百円のDACに釣り合わない金銭と労力を投じても仕方がないよ(笑)
組み立てに失敗してなければRaspbianでもVolumioでもとりあえず同じICを採用しているHiFiBerry DACだと誤認させれば使えるはず。具体的な方法はGoogle先生に聞いて下さい。
食わず嫌いはいかんとな思って一応Volumioもちょっと使ってみたけど…どうも性に合わないようで。やっぱFFmpegとかでALSAデバイスとして扱うのが個人的には好きです(笑)
ああそうだ、一応官能評価も書いておくか。
- LPFと耳鳴りの入った耳には48kHz以上のサンプルレートの違いは正直わからない。ただ16ビット分解能と24ビット分解能の違いはわかる
- 低歪FIRフィルタ(FLT=DGND)は所謂ハイレゾオーディオ系、特にクラシックとかに向いている感じ。低遅延IIRフィルタ(FLT=DVCC)はJ-POPとか、あと不可逆圧縮されたソースに向いている感じ
(なんか他の人の感想と逆なんだな…)
(個人の感想です、あくまでもw)
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